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ライ・クーダーとロイド・バッグス

タカミネ・フリークの方でしたら、ライ・クーダーという人をご存知の方も多いと思いますが、彼はグレン・フライやスプリングスティーンと並んで、タカミネの歴史において忘れられない存在といえます。ご存知ない方のために、彼の経歴を少し紹介しておきたいと思います。

ライ・クーダー(Ry Cooder)は、アメリカのギタリスト、スライド・ギターの名手で、アメリカのルーツ・ミュージック(ボーダーミュージック)を発掘し、映画音楽も多く手掛けている鬼才。1970年にアルバム『ライ・クーダー・ファースト』でソロ・デビュー、以来映画のサウンドトラックを入れると30枚以上に及ぶアルバムを発表している。1979年秋、デヴィッド・リンドレーと初来日。以後も1990年、1995年と再来日。1994年のグラミー賞において「ベスト・ワールド・ミュージック・アルバム賞」を受賞。1996年、キューバに赴き、エリアデス・オチョア、コンパイ・セグンドといったキューバのミュージシャンたちとアルバム『Buena Vista Social Club』をレコーディング。同作は、1997年のグラミー賞において「ベスト・トロピカル・ラテン・パフォーマンス賞」を受賞。昨年ニック・ロウと組み来日ツアーをおこなっている。

エレアコの創世記、弊社がエレアコの開発に取り組んでいた1979年、初の来日公演のため日本に来ていた彼は、当時社長であった故平出喜一郎氏の通訳をやっていた日本人女性マギーさんの紹介(彼女の旦那さんが学生の頃彼とルームメイトであった)で坂下工場にやってきた。早速ライに開発途中のパラセティック・ピックアップを紹介しプリアンプの開発、音色についての意見を仰いだと聞き及んでいます。そのとき彼は、現在ピックアップやプリアンプ機器等を開発販売しているアメリカのロイド・バッグス氏の製作したギターを持ってきていた(バッグス氏は当時、ライを初め、ジャクソン・ブラウンやCS&Nなどに数本のギターを製作しており、このギターはライのアルバム「ジャズ」でも使用されている)。そのギターがもとになり、パラセティック・ピックアップを搭載したライ・クーダーモデルが誕生したという逸話がある。(現在のタカミネの象徴ともなっているヘッドスタイルは、このギターをモデルにしたとも言われている。)

その後ロサンジェルスのレコーディング・スタジオで、名盤「バップ・ティル・ユア・ドロップ」の録音に立ち会ったロイドバッグ氏は、このライクーダーモデルの音に衝撃を受け、これを機にバッグス氏はギター製作からピックアップ製作の道へ転換したと同社のホームページの冒頭でも語られている。それから約30年、我々は彼の協力を得てマグネット・ピックアップ「Tri-Ax」を発表した。バッグス氏はたいへん気さくで、温厚でフレンドリーな方である。「お互いが反対方向に、おおきな半円を描きつつ同心円の頂点で出会ったのだ」と話してくれた。

人の縁というものはおもしろいものである。

AX


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